静岡市文化・クリエイティブ産業振興センター

団体概要

静岡市文化・クリエイティブ産業振興センターは、クリエーターの育成、コンテンツ産業の振興を推進する拠点施設です。愛称はCCC。クリエイティブやデザインという視点で、静岡の産業や街の活性化・発展を目指しています。
CCC内にあるギャラリーでは、国内外のクリエーターや、アーティストの展覧会、地域の産業の展覧会の開催や、デザイン・クリエイティブをキーワードとしたセミナーやワークショップを開催しています。
さらにクリエーターのネットワークを構築し、地域の産業とのマッチング機能やビジネス相談などもおこなっています。

ホームページ

http://www.c-c-c.or.jp/

2020年度
七間町ハプニング5

事業内容

静岡市中心市街地の食とアート&カルチャーゾーンとして注目を集める七間町人宿町界隈の劇場、路上、公園などを舞台としたパフォーミングアーツ・フェスティバル。ダンス、大道芸、演劇などジャンルを横断した創造的身体表現をプロとアマ、出演者と観客の垣根を超えて繰り広げた。今回で五回目を迎えたが、コロナ禍ということで感染症対策を徹底しつつ、これまでよりコンパクトな規模でフェスティバルを開催した。
七間町は明治時代には演芸の街として、大正時代は活動写真、昭和になると映画といったようにおおよそ150年に渡りアートやエンターテイメントを通して、人々に日々の活力を与えてきた。そして今、現代的で多様な身体表現「パフォーミングアーツ」がこの街のレガシーを受け継いでいく。この界隈には個人で営むユニークな店舗が多く集まっていて、観劇の途中の街歩きも楽しい。

開催日時

2021年3月13日(土)11:00 - 22:00   14日(日) 10:00 - 16:00

会場

静岡市文化・クリエイティブ産業振興センター、常磐公園
静岡市上下水道局庁舎前ピロティ、人宿町やどりき座

《担当コーディネーターの振り返り》

昨年度は残念ながらコロナの影響で中止となったが、今年度は規模を縮小し、演目も当初の予定から精選した分、濃密な時間を共有できる結果となった。

ダンス劇「ひどく晴れた静岡で」は人宿町やどりき座という、このエリアの文化の発信エンジンとも言える場所から、ダンサーが丁寧に地元の店主の取材を重ねて得た言葉、そこからインスパイアされたダンスと音楽に、街角の小さな営みとその裏にある多様な思いと人生に包み込まれるようであった。The Carnival – 獣害リサーチプロジェクトでは、鹿の生息域拡大は深刻な環境破壊を引き起こしているという課題と同時に、鹿は古来の日本社会では神の使いとしても敬われていたという神秘性、人間はそれを食すことで生きるという循環と矛盾をまさに体感することとなった。静岡市文化・クリエイティブ産業振興センターでの展覧会、静岡市上下水道局ピロティから常盤公園までパフォーマーと観客全員で移動、研究者からレクチャーを受けつつ、道中、そして公園でのパフォーマンスを目撃しながら最後には「食べる」行為を観客自らの選択で行う。街を巡ることでその循環をも重ね合わせて体験する、という仕組みだ。

昨年、無念にも七間町ハプニング4が中止となった際に、主催者と共有した「『発表の場』が失われることで、観客と「創造と協働のプロセスを共有すること」の機会が奪われるがままになっていいのだろうか?本当に最後の『発表の場』だけが発表の場なのだろうか?」という問いに対して、かつての劇場街の歴史の積み重ねがある、この街らしい独創的な一つの答えになっていたのではないかと思う。

 

                                 (佐野直哉)

2019年度
LIFEをLIVEにするハプニング!
「まちは劇場」地域でつくる多様な身体表現のお祭り
七間町ハプニング4

七間町ハプニングは市街地回遊型パフォーミングアーツ・フェスティバル。今回で4回目となり、静岡市中心市街地(通称おまち)の七間町人宿町界隈で開催しています。

1950年代後半にアメリカで興ったアートムーブメント「ハプニング」は市街地などで行われ、非再現的なその場限りのパフォーマンスを指します。この身体性の伴った表現行為は、演劇や音楽を取り込みながら多様な広がりを見せました。パフォーマーと観客の境を曖昧にしパフォーマンスに参加させることが特徴のひとつです。これらの一回性、コラボレーション、参加というワードを参照しながら、「七間町ハプニング」として、ダンスや演劇、大道芸などのパフォーミングアーツを通し、観客に突然の出会い(ハプニング)をもたらす機会を仕掛けていきます。だからこそカフェや路上など劇場以外の場所も重要な公演場所となるでしょう。また今回は「市民参加」を進め、ジャンルを横断した創造的身体表現をプロとアマ、出演者と観客の垣根を超えてエリア全体で繰り広げます。

七間町は明治時代には演芸の街として、大正時代は活動写真、昭和になると映画といったようにおおよそ150年に渡り舞台芸術やエンターテイメントを通して、人々に日々の活力を与えてきました。そして今、現代的で多様な身体表現「パフォーミングアーツ」がこの街のレガシーを受け継いでいくでしょう。ぜひ新しい歴史を紡ぐ瞬間を体感してください。

ユニークな個店が集まり、食とアート&カルチャーゾーンとして注目を集める七間町、人宿町界隈でのまちあるきもどうぞお楽しみに。

《担当コーディネーターのふりかえり》

本年度はコロナ禍の中、残念ながら開催中止という判断を取らざる得なかったのだが、いくつかの市民協働プロジェクトは開催に向けて市民、プロのアーティストや企画者、そして七間町の人たちの間に多様な交わりとコミュニケーションのグラデュエーションを見せながら進んでいた。

七間町ハプニング4は最後の大事な「観客」という存在のピースが欠けた結果となってしまったが、それは私たちにとって重要な問いも同時に残した。

最後の「発表の場」が失われることで、観客と「創造と協働のプロセスを共有すること」の機会が奪われるがままになっていいのだろうか?本当に最後の「発表の場」だけが発表の場なのだろうか?街を舞台にハプニング的におこなわれるからこそ、普段から街でそうした創造の共有の可能性はないのだろうか?そうした問いは、新たな思考と実験として次の七間町ハプニング5に必ずや活かされるであろう。

(佐野直哉)