ふじのくにラボ

概 要

地域に紐づいた和食文化を次世代へ継承することを目的とし、伝統芸能及び土地の風習・風俗に付随する食文化の調査・再現・アレンジなどを実施する料理人で構成された団体。

2020年度
ふじのくにラボ

国指定の無形文化財として登録されている小國神社十二段舞楽、天宮神社十二段舞楽、山名神社天王祭舞楽の食に着目したプロジェクト。

舞手が踊る前に食べていた特別な意味合いをもった食事があり、文献には食材の発注書のみが残る。そこから当時の食事の再現、そして継承のために現代版にアレンジしたレシピの開発・提案といったことがこれまで行われてきました。2020年度はそうした内容を取りまとめた冊子の作成を中心として活動する予定でしたが、神事自体が中止となり追加取材が難しい状況となったため、予定を大幅に変更し、これまでの調査で得た素材を元に冊子データの構成づくりをすすめるにとどめました。

《担当コーディネーターのふりかえり》

祭事に付随している食文化にスポットをあて、その掘り起こしと現代での継承方法を探るプロジェクト。

料理人である団体代表の地元・森町に伝わる舞楽には、催事に密接に関係した食文化があった。例えば、神事である舞楽の舞手が事前に食べる献立の中には、こんもり盛られた赤飯に箸が突き立てられている茶碗があり、それを食べることで舞手は人間という存在から一歩離れた存在になるという意味を持たせていたそうである。

また全国各地にあるお祭りや風習にも同じく食文化が対となって存在し、地域性や風土と呼応し、その時々の収穫物や、祭事だからわざわざ取り寄せる食材を扱う等、土地毎に独特の文化としてあったはずである。このプロジェクトでは、そうした風習のひとつとして、森町の舞楽に付随した食文化を「舞楽食」と名づけ取り上げている。

 

令和元年度には冊子の台割をとりまとめた。今年度4月からさらに追加取材を重ね、冊子の作成に入ろうとしていた矢先の新型コロナウイルス感染拡大であったため、そもそものお祭りが中止となってしまい、計画にブレーキをかけざるをえなかった。そこで今年度は、これまでのリサーチと取材を通してわかってきていることを台割に入れ込み、まとめ冊子のビジュアルイメージを先行して固めることになった。

(鈴木一郎太)

2019年度
ふじのくにラボ

「遠州森町の舞楽・舞楽食 ~食文化~次世代に繋ぐ~」

第1部 知ってみよう森町の舞楽の世界 小國神社舞楽「色香」の舞 解説・実演

田鍬智志氏(京都市立芸術大学日本伝統音楽研究センター准教授)

北島恵介氏(森町教育委員会社会教育課技監)

白幡富幸氏(遠江国一宮小國神社古式舞楽保存会)

第2部 時代を経て遠州森町の舞楽食

・寛政年間の舞楽食再現・舞楽食試食・座談会

・講演 食文化~次世代に繋ぐ~ 高島知佐子氏(静岡文化芸術大学准教授)

日 時

2019年11月18日(月) 18:00~20:40

会 場

静岡文化芸術大学 食堂

参加者

100名

《担当コーディネーターのふりかえり》

「舞楽食」は団体によってつくられた造語です。

しかし改めて考えてみたら、かなりの時間をかけて舞を奉納するのだからお腹もすきます。そしてその食事は神様の前で食べるものになるわけですし、そこになんらかの考えやしきたりや特徴があってもおかしくありません。輸送手段が限られていた頃では、その地で手に入る物で調理するわけで、誰が何も言わずとも地産地消となりますし、毎年定期開催されることで子どもたちにとったら旬を知ることにもつながることかもしれません。

まだスタートしたばかりですが、料理人たちがそこに目を向け、ただの調査ではなく、現代の状況やニーズに合わせた形をつくりだすスタンスに期待しています。

(鈴木一郎太)