ダンサー、作業療法士、演劇家と続いてきた根洗学園のワークショップシリーズ、今年度最後の回は音楽家の片岡祐介さんを講師に迎えて行われました。
ちょっと意識をズラしたら周囲には音がたくさんあるでしょ?という問いかけから始まり、合間合間に参加者からの問いを引き出しながら、まねをすることがスタートなど普段よりお話多めに進行されました。比較的笑い声より静かな時間、おしゃべりより険しい表情などが目立った回でしたが、終了後のアンケートを読み、それが受け取ったものを各々の中で咀嚼している時間だったのだと知りました。楽しむのもとてもいいことだと思いますが、これはこれでいい投げかけだったのだなと思いました。
今回参加された方は、根洗学園の先生、学校の先生、研究者とお子さん、他施設の職員、音楽家、入所施設の利用者と職員など多彩な顔触れでした。
これまで行ってきた回を振り返ると、小学生、高校生、大学生、会社勤めの方、退職された方など年代も幅広く、多様でした。根洗学園は日頃療育を提供する上で、“地域”ということを意識し、近隣の方々との関係を大切にした運営をされています。一方、このワークショップシリーズは近所という地縁でつながる“地域”とは、また別の意味での“地域”の方々が参加されていて、講師の促しによって触れる知識や技術などと共に、参加者の多様さやそこでのコミュニケーションからの気付きや学びや体験もあったように思います。そんな環境も「やったことないをやってみる」の大事な一要素でした。
ワークショップ終了後、近隣の福祉施設の方がこうした企画はどのようにしたらできるのか?(「生々しい話ですが」という前置きをして)予算のこと等の質問を受けました。ご自身のところでも音楽の時間は設けているが全く違ったものだったとおっしゃっていましたが、日頃行っている支援という観点からも何かてがかりなのか、手応えなのか、感じ取っていただいた様子でした。
こうして施設や企画を地域に開くことで、(趣味趣向を越えた所で)文化・芸術の担い手が生まれ、社会の中でその活用がなされていくのかと、そんな瞬間に立ち会った気がしました。