2018-11-17【富士の山ビエンナーレ2018~スルガノミライX みんなのnedocoプロジェクト】

日本各地で地域の特徴を活かした芸術祭が多数開催されています。みなさんも大地の芸術祭越後妻有アートトリエンナーレ、瀬戸内国際芸術祭など名を知られている芸術祭はもとより、旅行を兼ねて各地の大小の芸術祭を訪ねたことがある人も多いでしょう。初めて訪れる土地の人々との交流もアート旅を味わう醍醐味のひとつです。

 

静岡県文化プログラムでも採択プログラムの中に芸術祭は3プロジェクトを数えます。その中のひとつ、富士の山ビエンナーレは10月27日に開幕し、終盤に差し掛かっているところです。おかげさまで力のある作品が揃い、また数々の「まちあるき」イベント開催もあって盛り上がっています。

よりディープに芸術祭を楽しむため、地元有志メンバーが県外からこの芸術祭を訪れる参加者を即席ゲストハウスでもてなす「みんなのnedocoプロジェクト」とのコラボ企画が11月17日〜18日に開催されました。

 

即席ゲストハウスは、浮世絵でもおなじみ東海道の宿場町・蒲原の旧五十嵐邸。ビエンナーレの展示会場でもあり、昔ながらの町家を大正3年に洋風に改築したというユニークさで国の有形登録文化財にも指定されている建物がこの日限りのnedocoになりました。

文化財に滞在しながら、出展作家のカトウマキさん、メランカオリさんもゲスト参加し、交流する、という贅沢な時間です。

午後5時に現地集合。参加者は13名。県外から参加者のみということで、東京、神奈川などから集まりました。実はこの日は翌日の「蒲原宿場まつり&産業フェア」の前夜祭として「宵祭り」が開催されていました。宿場町に行灯のやさしい光が灯り、秋の夜を素敵に演出してくれます。そんなしっとりとした秋の夜を楽しみながら、近くの旧岩辺邸に徒歩で移動、そこでは宿泊に関するブリーフィング、自己紹介、そして古民家を活用して地域活性化を目指す「旧岩辺邸(木下邸)を考える会」と、蒲原を愛してやまない「みんなのnedocoプロジェクト」主催者「シズオカオーケストラ」のスタッフから、それぞれの視点で蒲原を語る「たっぷり蒲原トーク〜私と蒲原の10年〜」、その後夜の蒲原さんぽを経て、すっかり気分は蒲原の地元感覚モードに。

そしていよいよ20:00からはメインの「交流会」。地元のお母さんたちが用意してくれた心のこもった食事に、普段はちょいと節制している食欲も全開に。その間に、薪風呂に一人づつ入るお風呂リレー、アーティストや参加者との語らいも大いに盛り上がって、交流会終了の22:00過ぎても語り足らず、縁側でそのまま二次会へ。アーティストのメランさんは占いが得意、とのことで女子参加者との即席占い大会も。いい大人同士だけど、芸術祭でつながった者で、こんな修学旅行のように楽しく語らい、交流できるなんて思いもしませんでした。建築家、大学教員、地元のアートイベントをオーガナイズする人、中には昨年芸術祭を10以上観ているツワモノもいて、富士の山ビエンナーレへの参加も初めて観た、という人から全部3回とも観ているよ、という人まで、様々。アートへの関わり方も背景も様々な人たちから、「#私の考えるスルガノミライ」のいろんな視点と解釈を知ることもできて、とても刺激的でした。

翌日は「蒲原宿場まつり&産業フェア」で宿場通りは人で一杯。参加者は思い思いに買い物をしたり、昨日訪れることができなかった会場に行ったり、と今回のイベントのおかげでディープで忘れられない富士の山ビエンナーレの旅となりました。

富士の山ビエンナーレはいよいよ11月25日に閉幕します。11月23日には富士川地区のまち歩きツアーも開催されます。江戸時代から現在まで、約400年の間に変化し続ける「東海道」を機軸に、その変化を見ながら、根付いている文化を探します。この地で制作されている現代アートを鑑賞しながら、地元特産グルメも堪能する欲張りなコースです。ぜひご参加ください。

佐野 直哉 コーディネーター
オルガン奏者として英国留学後、ビクターエンタテインメント、駐日英国大使館やブリティッシュ・カウンシル勤務を通じて、クリエイティブ産業振興、ロンドンオリンピックやイングランドラグビーW杯など国家ブランディング関連の広報文化キャンペーンを担当。東京藝術大学大学院博士後期課程在学中、青山学院大学・上野学園大学非常勤講師。
このコーディネーターの他ブログ