2018-10-20【SHIZUOKA Study】想いを見える化してみよう〜企画書・予算書の書き方〜開催

県内の文化・芸術活動のより一層の充実を願い、静岡県文化プログラム・コーディネーターが企画する勉強会「SHIZUOKA Study」。企画書・予算書の作り方から資金調達、広報、決算まで、全4回の連続講座です。
9月8日(土)にキックオフを開催し、10月20日(土)は実践的な連続講座1回目を実施!今回は、プロジェクトの実現を目指して進める上で、仲間を増やしたり支援者を募っていくときに必要になってくる企画書と予算書のつくり方について、コーディネーターの鈴木一郎太、佐野直哉、立石沙織でお話をさせていただきました。

あらかじめ用意したレジュメに沿って、説明しながら、各ポイントで静岡県文化プログラム提案プログラムとして採択された事業を事例として紹介。

最初のポイントとして、企画書には2種類あるということ。想いを具体的な形にまとめるための企画書と、想いを伝えるための企画書+予算書です。

想いをまとめる上でまず重要となってくるのは、現状の把握。

独りよがりな企画書にならないようにするためには、業界・専門分野の動向や、想定されうるステークホルダーとリソースの洗い出しを行うことで、想いと現実のギャップを知り、それらを企画書に反映していくことが必要です。

例として、地域部活「掛川未来創造部」を立ち上げたふじのくに文教創造ネットワークが、ステークホルダーのマッピングを行ったことで関係者の輪の広がりが見える化したというお話や、かけがわ茶エンナーレ2017の実績が地域資源としての「場所」の発掘に繋がり、SPAC野外芸術フェスタin掛川の開催に役立ったお話を挙げさせていただきました。

こうして想いから立ち上がったビジョン1.0をビジョン2.0へバージョンアップさせ、再度道のりを描いていく過程で、そのプロジェクトの趣旨・目的・事業内容、やりたいことのフレームが明らかになります。

想いをまとめた企画書が完成したら、支援を受けるために想いを伝える企画書を作成します。ポイントは、プロジェクトを実施する「背景」を知らない人にも伝えられるような言葉づかいに気をつけること。「中学生にもわかるような」という例えもありました。

さらについ忘れがちなのは、「相手には相手のやりたいことがある」ということ。それに自分たちの活動が有用かどうかを見極め、言語化することが重要です。

静岡県文化プログラムが今年度提案プログラムを募集した際に使用した提案書を参照しながら、この項目には「こうしたことを簡潔に書く」、「その部分はここではなくこっちの項目で書く」といった具体的なお話も。

同時並行で予算を立てることで、より計画は客観的なものにしていくことができます。事業の柱ごとにゴールからスケジュールをシミュレーションする中で、必要なことが浮かび上がるのです。自分たちだけでなく、複数の団体が関わってくる際に便利な予算管理の方法もお伝えしました。

参加者のみなさんは、すでに文化施設等で文化・芸術に携わる仕事をしている人やアーティスト、今後事業を立ち上げようとしている人、事業を立ち上げる構想はないけれど興味を持ってくださった人などさまざま。

終了後に回収したアンケートでは、「言葉にしたくなった」「企画中の事業で、不足している部分がわかり、今後何をすれば良いか浮かんできた」などの感想をいただきました!

実は、これらの全ては私たちコーディネーターが様々な団体の方から相談を受け、アドバイスさせていただいてきた内容ばかり。静岡県文化プログラムの認証制度を利用すると、個別にコーディネーターからの助言を得ることも可能です。ぜひご活用いただければ幸いです。

立石 沙織 コーディネーター
静岡文化芸術大学でアートマネジメントを専攻。ギャラリー勤務などを経て、2011年「黄金町バザール2011(神奈川県横浜市)」コーディネーター。2012年〜2014年「日和アートセンター(宮城県石巻市)」アートプログラムコーディネーター。2014年よりNPO法人黄金町エリアマネジメントセンター(神奈川県横浜市)にて広報担当として勤務、現職。
このコーディネーターの他ブログ