東部伊豆地域文化ネットワーク形成準備事業の一環として実施した、市や町の境界を超えた「おもしろい!」を見つける、アーティストによるリサーチプロジェクトの報告会を開催します。
リサーチは、分断や共存の境界といった“不可視の力”を主題に、記録とフィクションを交差させるモキュメンタリー※の手法を用いた作品を発表してきた小鷹拓郎氏が公募で選ばれ、富士市、沼津市、長泉町、裾野市、御殿場市などを巡りました。
富士山五合目、御殿場の米軍基地や自衛隊駐屯地、ミサイル発射に抗議するデモの現場、ウーブンシティ、富士山の御胎内巡りや浅間大社、人穴富士講遺跡、白糸の滝にある食行身禄の碑、富士樹海、ハンセン病国立駿河療養所、奥駿河・淡島の軍事研究施設跡地、江ノ島の行者洞窟──小鷹氏が訪れた場所は一見すると関連がないように見えます。
しかし、これらはいずれも、信仰や願い、恐れ、あるいは管理や統治といったかたちで表出する「見えない祈り」が、長い時間をかけて風景や身体に沈殿してきた場所”だと小鷹氏は言います。
報告会では、リサーチ中に撮影した動画や写真をシェアしながら、小鷹氏が静岡県東部伊豆地域に見た「見えない祈り」について聞き、それが私たちの日常や風景にどのように存在し作用し続けているかを問い直します。






※モキュメンタリー(英:mockumentary)は、疑似を意味する「モック」と、「ドキュメンタリー」を合成した混成誤。フィクションを、ドキュメンタリー映像のように見せかけて演出する表現手法を指す。
東部伊豆地域文化ネットワーク形成準備事業 poly_search報告会「見えない祈りをたどって」
日時:2026年 1月 16日 (金)13:30 ~ 15:30
場所:旧ヴァンジ彫刻庭園美術館(長泉町東野347)
※入場無料
アーティストプロフィール
小鷹拓郎(こたか たくろう)
1984年埼玉県出身、アーティスト、映画監督。
社会の分断を抱えた地域でフィールドワークをおこない、ドキュメンタリーとフィクションを往来するアートフィルムを制作。文化的背景や民俗学的視点を取り入れながら、モキュメンタリー、サブリミナル効果、モールス信号といった技法を駆使し、国家と個人、現実と虚構の境界を問い直す。歴史や言語、共同体のあり方を掘り下げ、問題の当事者や専門家と協働しながら、ユーモラスな視点で現代社会の抜け穴を模索する。
主な展覧会に北アルプス国際芸術祭、ジャカルタビエンナーレ、奥能登国際芸術祭など。主な映画祭にドイツ・オーバーハウゼン国際短編ドキュメンタリー映画祭、インドネシア・ジョグジャNETPACアジアン映画祭などがある。カルチャー誌「STUDIO VOICE」などで執筆。2017年に文化庁新進芸術家海外研修制度でタイを拠点に活動。2019年にポーラ美術振興財団在外研修制度でインドネシアを拠点に活動。 現在は埼玉県を拠点に活動中。
主催:静岡県、アーツカウンシルしずおか
※リサーチプログラム「poly_search」は、令和7年度東部・伊豆地域文化ネットワーク形成準備事業の一環で開催。公募で59名の応募者から選ばれた小鷹拓郎氏がリサーチを実施しました。(選考委員:平野雅彦、石神夏希、辻修次、櫛野展正、立石沙織) 参考/https://artscouncil-shizuoka.jp/news/10043/
問合せ:アーツカウンシルしずおか(担当:鈴木、齋藤)
[TEL]054-204-0059 (9:00~16:00/土日祝を除く)
[E-mail]info★artscouncil-shizuoka.jp
※送付の際は、「★」を「@」 に変えてお送りください
報告会翌日には、小鷹さんの過去作品はじめ、3名の映像作家の作品上映会が御殿場で開催されます。
トークやまち歩き、フード&ドリンク出店ありの盛りだくさんの企画になっています。また、会場となるnoctariumuは元映画館をその昭和レトロな趣きを残して改装した宿泊施設兼イベントスペースとなっており、他にはない魅力的な空間となっており一見の価値ありです!
| <タイアップ企画> 特集上映プログラム「反転した惑星」 狂っているのはお前か、俺か ──。 本上映プログラム「反転した惑星」は、アーティストの小鷹拓郎、柴田祐輔、山本篤の映像作品を通じて、世界の捉え方がいかに組み替えられ、更新されうるのかを検討する試みである。 会場となるのは、御殿場のゲストハウス映画館「noctarium」。1965年から2012年まで映画館として機能していた「マウント劇場」を、建築家・勝呂恒介がほぼ一人でDIY改修し、2020年に再生させた空間である。上映鑑賞に特化した制度的な映画館は、滞在や関係性を内包する場へと変容し、「映画を見る」という行為の前提そのものを静かに反転させた。 本プログラムでは、この場所の反転を起点に、映像と人間の創造力が世界認識をどのように反転させうるのかを批評的に問い直す。 小鷹拓郎は、UFOやテレパシーといった未知の存在や力を手がかりに、ドキュメンタリーとフィクションの境界を曖昧にする。柴田祐輔は、出来事が「現実」として流通し、受け取られる過程に焦点を当て、日常や制度が生成される仕組みを可視化する。山本篤は、断片的で私的な行為の反復を通じて、身体と時間の揺らぎに寄り添い、変化が日常の内部でゆるやかに進行するプロセスとして現れることを示してきた。 三者の映像が交差することで、世界は固定された向きをもつものではなく、複数の視点やスケールによって書き換えられた「反転した惑星」として立ち上がる。本プログラムは、映像を「反転を引き起こす媒体」と捉え、観客自身の知覚や判断の位置を更新する場をひらく。 また上映の合間には、noctarium代表・勝呂恒介の案内による御殿場ツアーが行われるほか、会場内では、写真家・鈴木竜一朗や、国立奥多摩美術館の佐塚真啓館長によるパフォーマンス販売、選りすぐりの日本酒を集めた「あなぐま酒場&ブックス」、9歳の少年が手がける「NOTAのおみせ」、御殿場にゆかりのある店舗の出展も予定されている。 ——————- 上映プログラム「反転した惑星」 日時:2026年1月17日(土)12:00~20:00 会場:noctarium / マウント劇場(御殿場市新橋1988-17) 上映作家:小鷹拓郎、柴田祐輔、山本篤 ツアーガイド:勝呂恒介(noctarium代表) 写真展示:鈴木竜一朗 パフォーマンス:佐塚真啓 出店:あなぐま酒場&ブックス、カレーと催事2i、国立奥多摩美術館、NOTAのおみせ、BOSCHI COFFEEなど 主催:反転した惑星実行委員会 ——————- 詳細 https://noctarium.peatix.com/ ——————- スケジュール: <第1部> 上映13:00-15:00 アフタートーク「ノクタリウムと国立奥多摩映画館〜自作映画館について〜」 司会:小鷹拓郎 出演:佐塚真啓、勝呂恒介 <第2部> 御殿場ツアー:15:30-16:30 ガイド:勝呂恒介 <第3部>上映17:00-19:00 アフタートーク「反転した世界について」 司会:小鷹拓郎 出演:柴田祐輔、山本篤 ——————- チケット: [一般チケット] ①前売2500円、当日3000円 ※入退場自由、小学生以下無料 [宿泊チケット] ②前売+宿泊9000円 ③前売+宿泊6500円(人数追加用) [応援チケット] ④応援3000円 ※「イベントには行けないけど、応援したい」という方、こちらでご支援を受付中! ※「宿泊チケット」は、イベント終了後、そのまま映画館「noctarium」の施設内にある個室にご宿泊いただけるお得なチケットです。こちらのチケットは、先着4組限定になります。 チケット予約 https://noctarium.peatix.com/ |