文化やアートをめぐるさまざまなこと。
アーツカウンシルしずおかの目線で切り取って、お届けします。
いっぷく

vol.96
【ピア・ビジット】妄想銭湯夜会訪問レポート(吉田温泉実行委員会)
(アーツカウンシルしずおか)
アーツカウンシルしずおかでは、「文化芸術による地域振興プログラム」採択団体を対象に、団体同士が互いの活動を訪問し、学び合うためのサポート制度「ピア・ビジット」を立ち上げました。
「ピア(Peer)」とは、仲間や同じ立場の人を意味します。助成事業では、それぞれの団体が異なる地域や分野で活動しているため、他団体の現場を訪れ、運営の工夫や地域との関わり方、活動の進め方などを実際に見て対話することは、新たな気づきや学びにつながります。
このコラムでは、参加団体が訪問を通じて感じたことや学んだことをレポートとして掲載します。それぞれの視点から綴られた記録が、活動に取り組む皆さんにとって新たなヒントとなれば幸いです。
今回のピア・ビジット
参加団体
吉田温泉実行委員会
訪問先
合同会社Brass Entertainment Company
7月26日(日)開催「妄想銭湯夜会~第三夜~」
TITLE
「妄想銭湯夜会」訪問レポート
(吉田温泉実行委員会 兼子京子)
東海道線で掛川駅に行き、徒歩で「ポートカケガワ」へ到着。18時から開催された妄想会議では、京都の「サウナの梅湯」店主である湊三次郎氏より、「地域にとって銭湯の重要性」について事例を交えた講演が行われた。講演後の質疑応答では、グッズ売上が全体売上の20%を超えることなど、銭湯経営に関する具体的な話を聞くことができ、興味深かった。また、全国の特色ある銭湯についても知る機会となった。次回開催案内や吉田温泉での撮影会案内もあり。19時すぎからの交流会では、ユーモアが感じられるおもてなしメニューでリラックスして参加。翌朝東京での仕事があったため早めに退席したが、もっとゆっくり参加者との交流を深めたかった。
私は今回の会議を通して、「地域に銭湯をつくろう」という妄想そのものが、すでに「まちづくり」なのではないかと感じた。まちづくりというと、大きな資本や行政による再開発を思い浮かべがちだが、本来はそのまちに住み、そのまちを使う人たちが「このまちをどうしたいか」を考え、対話することから始まるのではないだろうか。そうした意味で、この妄想会議は地域の未来を参加者自身が考える、身近で実践的なまちづくりの場であったと思う。
今後、この会議の進む方向に大いに期待したい。現実的な計画段階に入ると、土地や建物、予算といった条件が議論の中心になりがちである。しかし、そのような従来型の施設計画に早々と縛られるのではなく、自分たちが本当に望む新しいまちの姿とは何か、人と人との関係や暮らし方を含めてどのような地域を目指したいのかというところまで、子供から大人までみんなの妄想と議論が広がっていくことを期待する。「銭湯をつくる」から「どんなまちをつくるのか」の妄想会議になっていくのだろう。
