ふじのくに
文化資源データベース

紀州徳川家15代徳川頼倫（よりみち）は、欧米訪問の際に見た図書館を自ら造ろうと決心し、明治32年（1899年）東京麻布の邸内に洋風の図書館を建設しました。そして「南紀」と徳川家の家紋「葵」にちなんで「南葵文庫（なんきぶんこ）」と命名しました。
明治41年（1908年）施設が全て整いわが国初の西洋式図書館が誕生します。これを機に一般にも公開され、大正9年（1920年）には蔵書数が12万冊にも及びました。ところが大正12年（1923年）の関東大震災で東京帝国大学図書館が焼失した際に、全蔵書を寄贈して閉館することになりました。
昭和8年（1933年）に16代頼貞（よりさだ）の大磯別荘として移築され「VILLA DEL SOL（ヴィラ・デル・ソル）」と名付けられました。昭和54年に老舗旅館「蓬莱（ほうらい）」が譲り受け、昭和62年（1987年）熱海・伊豆山の海辺へ移築し、ホテル「ヴィラ・デル・ソル」として現在も親しまれています。
移築再生された建物は図書館として最初に竣工した「副館」と呼ばれる部分で、現在は1階旧客室2室をサロン、2階旧庫主室と旧閲覧室をレストラン、旧主幹室を配膳室に使用しています。旧庫主室は、庫主頼倫の執務室だったといわれます。