
アーツカウンシルしずおかは、本年8月3日(日)に東京・有楽町で開催される静岡県最大の移住イベント「静岡まるごと移住フェア(主催:静岡県・ふじのくにに住みかえる推進本部)」に出展します。
「静岡まるごと移住フェア」は、静岡県への移住を検討している人々を対象に、静岡県の市町や企業団体が一同に会し、移住に関する相談や情報提供を行うイベントです。
アーツカウンシルしずおかは2021年から毎年夏にブース出展し、アーティストやクリエイター、クリエイティブなことに関心の高い方へ向けて、静岡県の魅力を紹介してきました。
今回は、自身が制作した作品をきっかけに静岡県へJターンし、現在は島田市伊久美地区で演劇祭の立ち上げに奔走する演出家・仲田恭子さんをゲスト移住相談員に迎え、移住した後の活動状況やアーティストのコミュニティ、ネットワークなどについて情報提供を行います。
ゲストとアーツカウンシルしずおかのコーディネーターが、みなさんのこんな質問(↓)にお答えします!
・静岡県に移住を決めたポイントは?
・静岡県に移住してアーティスト活動は続けられるの?(どんなメリットがありそう?)
・静岡県に移住して大変なこと、よかったことはどんなこと?
・どこに行けば静岡県内で面白い活動をしている人や場所に出会えるの?
・アーティストから見た静岡県の魅力は?? などなど!

また、今回はブースの隣に「あなたのしずおか度チェックシート」を展開!
これは静岡県にゆかりある設問を集めたチェックシートで、設問にYES(はい)・NO(いいえ)と答えることで、あなた自身が今どのようなことを求めているのかを気軽にチェックすることができます。
気になる設問があったら、「YES・NO相談係」にお声かけください。あなたの中に眠る「しずおか因子」や「移住因子」が見つかるかもしれません。
ぜひお気軽にご来場ください!

アーツカウンシルしずおか出張移住相談会
@静岡まるごと移住フェア
日 時 | 2025年8月3日(日) 11:00~16:30 ※ゲストによる相談対応は12:00~16:00 |
会 場 | 東京交通会館 12階 ダイヤモンドホール(JR有楽町駅前) |
ゲスト移住相談員 | 仲田 恭子(演出家) |
参加方法 | 参加無料 ※1組ずつ30分程度の相談対応を予定、事前予約優先・当日受付可 ※事前予約はこちらから:https://x.gd/NhewH(8月1日(金)17時〆切) |
問合せ先 | アーツカウンシルしずおか(担当:立石) TEL:054-204-0059 E-mail: info(a)artscouncil-shizuoka.jp ※メールは、(a)を@(半角アットマーク)に換えて送信してください |
ゲストプロフィール

仲田 恭子
演出家
演劇団体アートひかり代表。演出や劇作、企画プロデュースなど手がける。
2004年8月第5回利賀演出家コンクール最優秀演出家賞受賞を機に2005年3月アートひかり発足。2007~2010年、横浜急な坂スタジオレジデントアーティストとして活動後、2011年12月に東京から長野県木曽町に拠点を移し、長野県内各地や山梨県などの地域における演劇祭の実施や、国内外のフェスティバルへの参加など行う。2017年3月から2018年12月まで、俳優の杉山雅紀と共に上田市「犀の角」スタッフ兼レジデントアーティストとして活動後、2019年1月より大阪に拠点を移す。
2023年8月より静岡県島田市に拠点を移す。
今回、仲田さんが経験した「移住」をテーマに、フォトエッセイを執筆していただきました!

移住のこと
過去に演劇を通じて関わった方から、「静岡県藤枝市の茶町に、伊豆石(※)を使った昔の茶倉庫『石の蔵』がある。そこを管理している方が、蔵を保存活用したいと言っているから、一度見に行って何かアイデアを出してくれないか」とお声がけいただいたことが、すべてのはじまりであった。
当時は大阪に住んでいて、実際にその蔵を訪ねたのは2020年1月のことだった。管理されている方は、郷土史家でもあり、ご自分で本を出版していた。それは静岡県の幕末から明治初期における近代日本茶の始まりについて書かれた本で、「ここらで、ちゃんと本として残しておきたかった」と仰る熱意と、歴史<小説>として書かれていることが新鮮に感じられた。
これなら演劇作品にできるかも…と思い、その本を原作とした『JapanTea物語』を書きあげた。5人の演者とチンドン楽士2名とともに「石の蔵」で上演したのが2020年10月。物語の舞台である島田市伊久美から観客として公演に足を運んでくださった方こそが、のちに私たちの移住を後押ししたNさんである。
Nさんの「ぜひ次は伊久美で上演してほしい」という話から、“伊久美の物語を伊久美で上演する”ことを目指して動き出したものの、その後2年間はコロナ禍や自然災害によって中止や会場変更を余儀なくされた。真夏に汗だくになりながら現地稽古(屋外)を重ね、伊久美公演に心を寄せて皆で取り組んできた時間を、簡単に手放すことなど到底できなかった。でも本当に公演できる日は来るのか、何かにお参りに行くなどしたほうがいいのか、など色々なことを思った。諦めたらきっとそこで終わりだったであろう。今思うと分岐点だった。
そして2023年10月に悲願の伊久美公演が実現!やっと(公演)できたという安堵と、もしかしたら「機が熟す」とはこういうことかもしれない、と思った。なんだかんだ一番いいタイミングで一番いい環境でできたのではないだろうか、と。
通いでちんたら準備していても永久に公演できない。腰を据えてここに住んで公演の準備をしよう、住むしかない!と決めたのは2023年の夏だったと思う。2年の間に経験した自然災害は自分にとって大きな出来事で、良い時(作品を披露するとき)だけ、関係ないところから伊久美に出向いて公演することに抵抗を感じていた。また、中山間地域で空き家の多い(街中も空き家が多いが)集落に移住することで、古民家やお屋敷を劇場化したり、高齢者の集まりに落語や小芝居をしに行ったり、閉校した小学校の伝統だったオペレッタを引き継いだりと、おこがましいが、演劇の力を使える余地が色々ありそうだという可能性を感じた。演劇人としての直感はイエスと言っていた。
とは言え、当時の大阪暮らしも便利で楽しく、なかなか踏ん切りはつかなかった。そんなとき、Nさんの存在や「鶏の鳴き声が聞こえる範囲が健全なコミュニティ」という伊久美の方の言葉を聞いて、そういうコミュニティの可能性というものを考えてみよう!という結論に達し、移住に踏み切ったのである。
移住後の私が実際にどのようなことを経験し、考えたり感じたりしているかについては、ここからまた長くなってしまいそうだ。移住フェアでお会いした際にでもお話できればと思う。
(仲田恭子)
※伊豆石:静岡県伊豆半島とその周辺で採れる石材の総称。江戸城の石垣など、古くから建築資材や石仏、石碑などに利用されている。
静岡まるごと移住フェアについて
東京・有楽町に静岡県内の市町や、仕事・住まい等に関する約60団体が集結し、個別相談が可能です。 各自治体の魅力や、移住者が登壇するセミナーも開催します。
