CULTURAL RESOURCE DATABASE

ふじのくに
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林叟院草創の記

 今から500年ほど前、この地に林雙院というお寺がありました。このお寺は法永長者と呼ばれた小川城主長谷川正宣が、賢仲という偉いお坊さんを招いて建てたものです。
あるとき、お寺に不思議な年老いたお坊さんが訪れ、賢仲に「ここは危ない。お寺を移すがよい。その場所を教えましょう。」と言って、賢仲を連れて坂本の山のふもとまで行くと、「この地に」と指さしました。賢仲が辺りを見渡したのちに振り返ると、不思議なお坊さんの姿はなく、お坊さんのいた場所には一つの大きな石がありました。
賢仲は寺に帰ると、さっそくこれを長谷川正宣に伝え、急いでお寺を移すことにして今の場所に新しく林叟院が建てられました(異叟=不思議な老僧が指した場所のため、寺名の「林雙院」を「林叟院」とした)。
不思議なお坊さんが指した場所にあったという石は、今でも林叟院に上る階段の大きな杉の根元にあり、「山神(さんじん)血脈(けちみゃく)石(いし)」と呼ばれて大切にされています。
林叟院が今の場所に移った次の年に明応の大地震が起こり、津波に合って元のお寺があった辺りは海に沈んでしまいました。大正時代までは、舟の上から海の中をのぞくと、林雙院の石垣や建物の跡が見えたそうです。

所在地 静岡県焼津市小川3816-1地先 稲荷神社
問い合わせ先 焼津市歴史民俗資料館 TEL 054-629-6847
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