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ふじのくに
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井上靖文学碑(しろばんば)

井上靖旧邸跡に19995年建碑。
「しろばんば」の冒頭部分が自筆をもとに刻まれている。
洪作少年がおぬい婆さんと暮らした土蔵は、この碑の右斜め後ろの花壇のあたりにあった。

その頃、と言っても大正四、五年のことで、いまから四十数年前のことだが、夕方になると、決って村の子供たちは口々に”しろばんば、しろばんば”と叫びながら、家の前の街道をあっちに走ったり、こっちに走ったりしながら、夕闇のたちこめ始めた空間を、棉屑でも舞っているように浮遊している、白い小さい生きものを追いかけて遊んだ。

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