「令和8年度東部伊豆地域文化ネットワーク運営事業」の一環として実施するリサーチプログラム「poly_search」のリサーチ実施者が、こわれやすい仮小屋(菅野歩美、古川智彬)、吉田拓の2組に決定しました。12月にかけてリサーチを展開し、来年1月の報告会にて発表を予定しています。報告会の詳細については、後日、アーツカウンシルしずおかのHP、SNSにてお知らせします。
| <リサーチプログラム「poly_search」実施者> こわれやすい仮小屋(菅野歩美、古川智彬) 吉田拓 |
お知らせ「2026年度 poly_searchのリサーチ実施者が決定しました!② 吉田拓」は、こちらからご覧ください。
< プロフィール>

こわれやすい仮小屋(アート・コレクティブ)
菅野歩美(アーティスト)、古川智彬(リサーチャー)
現代美術作家の菅野歩美とリサーチャー・ライターの古川智彬からなるユニット。
固定された権威にあるものではなく、時代や社会の変化とともに新たな意味を獲得していく運動こそがフォークロアであるという理解のもとに、現存するものとは異なる新たなフォークロア=「オルタナティブ・フォークロア」を、リサーチや制作を通じて探求する。この過程においては、リサーチで明らかになった根っこの部分、すなわち現代の人間にも通ずる普遍的な要素に常に立ち返り、「オルタナティブ・フォークロア」が、単に現実とのズレを強調した異物であるだけでなく、どこか身近で懐かしいとさえ感じられるような作品となるように試みている。
菅野歩美 KANNO AYUMI
アーティスト

1994 年東京都生まれ。2025 年、東京藝術大学大学院
美術研究科博士後期課程美術専攻油画研究領域修了。
土地にまつわる物語や風習、幽霊譚などのフォークロアを主題に制作を行う。フォークロアを紐解くことで立ち現れる背景や歴史を手がかりに、ありえたかもしれないもう一つの可能性を「オルタナティヴ・フォークロア」として、映像、ドローイング、立体を用いたインスタレーションで表現している。2021 年 A-TOM ART AWARD 特別賞、2023 年 CAF 賞 最優秀賞、
2024 年 第29 回学生CG コンテスト NEW CHITOSE GENIUS 賞を受賞。
近年の主な展示に「Boring process たいくつな掘削かてい」現代芸術振興財団(東京、2025 年)、「P.O.N.D.2025 Swing Beyond / 揺らぎごと、超えていく。」PARCO MUSEUM TOKYO(東京、2025 年)。
古川智彬 FURUKAWA CHIAKI
リサーチャー・ライター

1995 年大阪府生まれ。東京を拠点に現代美術作品のリサーチャーやライターとして活動している。2019年に大阪大学人間科学研究科人間科学専攻博士前期課程を修了。2020 年にタナカハルカ・結城敬介と共にアイドル批評誌『かいわい』を立ち上げ、編集・執筆に携わる。2021 年よりジャンル不定カルチャー誌『アレ』に、論考を複数回寄稿した。
これまで携わった展示企画に、「DEFOAMAT『交信の日_ 菅野歩美× ヌトミック』」(旧朝倉家住宅、東京、2026)、「菅野歩美 個展『Boring process たいくつな掘削かてい』」(現代芸術振興財団、東京、2025)、「菅野歩美 個展『明日のハロウィン都市 / Halloween Cities of To-Morrow』」(SACS、東京、2023)がある。
また、「都美セレクション グループ展 2022『ものののこしかた』 」(東京都美術館、東京、2022)では展評を執筆した。
< 過去作品 >
「明日のハロウィン都市 / Halloween Cities of To-Morrow」
制作年: 2023年 ミクスドメディア・インスタレーション

都市開発において、利益を生まないものは排除される。しかしこの映像の中では、そんな開発の力を遥かに凌ぐ自然の力によって、渋谷のスクランブル交差点が水浸しになり、生き物や植物が戻ってきている。さらにこの未来の渋谷では、現在排除され始めたハロウィンが伝統的な祭りとなり、そこに幽霊たちが集まってきてもいる。
だから、この作品における「明日」とは、全く新しい未来を意味するのではない。これまでの都市開発で排除されてきた、ありえたかもしれない渋谷の過去の可能性が、幽霊として未来のスクランブル交差点に帰ってきているのだ。このとき、これまでの開発で前提されてきたような、過去から現在そして未来へと都市が不可逆的に発展していくという単線的な時間像は、もはや成り立たない。水浸しになった渋谷の中心地点で、ありえたはずの過去と未来に対する想像力が、スクランブルされて交差している。
《明日のハロウィン都市》は、かつて 10 月 31 日の渋谷に人々が仮装して集まっていた現象を主題とし、この出来事に原初的な祭の性質を重ね合わせることで、現代的な事象に民俗学的価値を見出そうとする作品である。
映像では、ゲームエンジンによってシミュレーションされた、渋谷のハロウィンが伝承化した未来の都市が映し出される。そこでは、渋谷のスクランブル交差点が、かつての姿を想起させるかのように水に覆われている。
手入れされていない植物が繁茂し、人々は自由に徘徊し、とどまり、踊っている。
利益を生まない存在は都市開発の中で排除の対象となり、街が整備されていく一方で、ゴーストの居場所は失われていく。本作は、そのような開発のあり方に対して、あり得るかもしれない共存のかたちを示唆する
ものである。
web: https://ayumikannno.myportfolio.com/164c9b6569ca43
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「未踏のツアー/ The Untrodden Tour」
制作年: 2022年 ミクスドメディア・インスタレーション

写真提供:NTTインターコミュニケーション・センター [ICC]
訪れたことが無い遠く離れた土地に対して、親密性を築くには、どのような方法があるだろうか。《未踏のツアー》はそんな問い から始まった作品である。
東京に住む作者は友人の移住をきっかけに、自身は訪れたことのないその土地に対して、遠隔でリサーチを行なった。google マッ プを使いその土地を散歩し、その土地に関係する小説や、町の広報誌、ビデオ通話を通して町の物語を、口頭伝承として受けるな どを行い集めた。そこから、未踏のままに友人が住む町の模型を CG で制作し、リサーチで集めた資料に基づいた様々な物語を、 オブジェやドローイングなど複数の手法で模型に埋め込んだ。こうして出来上がったもう一つの町を、作者が未踏ながらに作り出 したツアー形式で踏破する。
インスタレーションでは、この想像上の町を巡るガイドツアーと、同じルートを辿る現地撮影の実写映像を組み合わせた。この二つの風景のズレと重なりから、新たな土地との接続のあり方を模索する作品である。
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