文化やアートをめぐるさまざまなこと。
アーツカウンシルしずおかの目線で切り取って、お届けします。
いっぷく
vol.61
成果報告会の“報告” その3/ヒラメキの「場」づくり
(プログラム・コーディネーター 立石沙織)
去る2月に開催された「文化芸術による地域振興プログラム」成果報告会の中で、実施団体が5グループに分かれ、テーマに沿って語り合ったグループワークの内容と考察を、各グループの担当プログラム・ディレクター、プログラム・コーディネーターがそれぞれレポートにまとめました。 本コラムvol.59~63では、『成果報告会の“報告”その1~5』 として、各レポートを公開しています。
■2023年度「文化芸術による地域振興プログラム」成果報告会
日 時:2024年2月12日(月・祝) 13時~17時
会 場:【BiViキャン】静岡産業大学 藤枝駅前キャンパス × 藤枝市産学官連携推進センター
参加者:2023年度「文化芸術による地域振興プログラム」実施団体、一般参加者など
ヒラメキの「場」づくり
何かコトを起こすとき、「場」が重要な役割を担うことは言うまでもない。
それは、人が集まるための物理的な「場(場所)」でもあり、人々に新しいチャンスをもたらす概念としての「場(機会)」でもあるだろう。
「文化芸術による地域振興プログラム」もまた、団体の事業内容は多種多様でも、「場」という共通項があるだろうと思い、グループワークのテーマとして設定した。
ここに参加したのは4団体で、それぞれ異なる角度で「場」に向き合いながら事業を実施している。
例えば「つくるぞうのへや(浜松市)」は、フリースクールという場が地域に対し閉ざされがちなことに意識を向け、スクールをアーティストの招聘やフェスタの開催をとおして外に開き、その役割を伝えていく。
「TOWA紫陽花プロジェクト実行委員会(下田市)」は、廃棄される紫陽花を活用する場として空き店舗を活用した。
その思わぬ副産物として、事業終了後も空き店舗の次なる活用者や新しい動きにつながりつつあるという。
「特定非営利活動法人atamista(熱海市)」は、体育館の固定化された機能を見つめ直し、スポーツだけでなく身体を使った表現活動の場として、施設の役割を拡張していく試みを始めている。
そして「熱海未来音楽祭(熱海市)」は、文化施設のない熱海の市街地に前衛的な音楽やダンスを出現させることで、ビーチや商店街などの公共空間に非日常をもたらす役割を担う。
さらに今年は、熱海で活動するプレイヤー同士の連携を進める場づくりも手掛けている。
どの事業も、「場」づくりをとおして、これまで混ざらなかったような人々が同じ時間を共有する機会が生まれている。
それは決して「アートプロジェクトでしかできない」ことではないけれど、アートプロジェクトは地域をエンパワメントする一つの手段や方法なのだ。
そして、ときにアートやアーティストが、地域に新たな見方や発想をもたらす特異性を持っているということを各団体の事業が生み出した成果(変化)が物語っている。
ヒラメキの「場」づくり
(話合い団体)
TOWA 紫陽花 プロジェクト 実行委員会
特定非営利活動法人atamista
つくるぞうのへや
熱海未来音楽祭