CULTURAL RESOURCE DATABASE

ふじのくに
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かっぱの目薬

昔、浦川の見龍というお医者さんの家に「あお」と呼ばれる力の強い馬がいました。
ある夏の夕方、下男の源一が近くの相川であおの体を洗っていると、あおは何に驚いたのか急に暴れだし、源一が止めるのも聞かず、川の中でひとしきり暴れるとたづなをふり切って逃げて行ってしまいました。
源一が息をきらせて後を追って行くと、あおは家に帰っていて、先ほど暴れていたことなどとんと忘れたように、庭に立っていました。
源一があおのしっぽの方を見ると、なんとカッパがしがみついて、ぶるぶるとふるえていたのです。
馬を淵の中に引きずりこもうとして、逆に馬に引き出されたカッパは頭の皿の水がこぼれてしまったため、力が出なくなり、庭の柿の木にしばりつけられてしまいました。
このさわぎを聞きつけて、近所の人たちがめずらしがって、カッパの回りに集まってきました。 カッパは、しばられて逃げることもできないとわかると目から涙をぽろぽろ流し、「目薬の作り方を教えるから」ということで、許してもらうことができました。
あくる朝、見龍の家で源一が玄関の戸を開けると、そこには目薬の作り形を書いたサトイモの葉が置いてありました。 見龍はさっそく目薬を作り、この薬は「カッパの目薬」とも言われ、目の悪い人々のためにたいそう役たった、と伝わります。

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